厳冬期、といっていいかどうか微妙な時期に北アルプスの西穂高岳に登りました。我が国でも標高と難易度では一級の山岳地帯なだけあり、なかなか充実した山旅となりました。
歩きはじめから強風が吹き荒れます。流れる小雪、波のような雪面。時折雲を通して薄日が射します。
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目指す西穂高岳は、いくつもの峰に守られているように見えるその奥の峰です。
上空の雲の流れは早い。
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頂へと続く路は風の中。時折立っていられないくらいの風が吹き付けます。
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前穂高岳から明神岳に続く稜線。考えてみれば、季節は違いますがこのあたりの山々に初めて登ったのはおそらく中学生から高校生になった時期でした。父につれられ、右も左も分からないままとにかく岩山を一生懸命歩いたことを覚えています。それから振り返ってみればずいぶんな時間が経ちましたが、少年の日々の記憶がよみがえってきて気がつけば風の中ずいぶん見とれていた気がします。
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ひどく懐かしく、大げさに言えば帰ってきたような気持ちでした。
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振り返れば、焼岳。誰1人登ってこないので、まるでこの景色はすべて自分のものみたいです。
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対峙する山の山腹にも薄日が。
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目指す1つ目の頂が近づいてきました。
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頂の直下の岩場に取り付きましたが、ここからさらに風の強さが増してきました。足下が悪いのと岩場のため、風が息をついた瞬間にしか動けません。でもほとんど強風が吹きっぱなしで動くことができません。
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あと20メートルくらい、という地点までじりじりと進みましたが強風とアイスバーンのためこの先はザイル(ロープ)による確保がない限りは前進は無理と判断しました。今回は残念ながらザイル等の装備は持ってきていませんでした。
猛烈な勢いで雲が吹き抜けていく中、一瞬うす雲になった時、かすかに青空が見えました。この頂の名前は独標、今回はここまで…。
今回は西穂高岳本峰まで行きたかったのですが、叶いませんでした。でも気持ちとしては達成感があります。ベストは尽くした、と。人が吹き飛ばされそうな猛烈な風と雪をかき分けて進む「ラッセル」…やはり北アルプスだなということを全身で感じることができたことは、本当にうれしいことです。そして戻ってくるべき場所に戻ったような懐かしさと…。時々こういう世界に来ることができるということは大切なこと、いつまでも続けていきたいです。
(ブログから引越し)
今日のお供のカメラ
カメラ: Canon EOS60D
レンズ: Canon EFS15-85mm f3.5-5.6 IS USM
風にさらされっぱなしだったのにも関わらず、電池は寒さに持ちこたえてくれました。強風のためカメラのホールドが安定しないのですが、そんな時には連写の機能が思った以上に役立ったのは新たな発見でした。